2007年11月27日火曜日

Redefining motivation to read in a foreign language

Mori, S. (2002). Redifing motivation to read in a foreign language. Reading in a Foreign Language, 14(2), 91-110.

動機付けの研究はGardnerをはじめカナダのESLコンテクストで盛んにおこなわれてきた。そして、Gardnerは動機づけのモデルを開発し、その核となる概念はintegrative motivationであるとした。しかし、GardnerモデルはESLコンテキストでは妥当かもしれないが、EFLコンテクストではどうなのかという批判があった。よって、EFLコンテキストにあったモデルの開発がおこなわれた。

リーディングの分野ではKrashenなどによる多読と習熟度別の関係は研究がおこなわれてきた。また、動機づけのモデルは進化した。しかし、リーディングに対する動機付けはまったく行われてきていない。唯一あるreading motivationのモデルはDay & Bamford (1998)によって理論化されたが、未だ実証研究は行われていない。

L1の分野ではWigfield and Guthrie (1995)がリーディングに特有な動機付けを理論化した。この理論はExpectancy-value theoryに基づいており、expectancy for success(e.g., task difficulty, and task-specific self-concept)とvalue(e.g., attainment value, intrinsic value, extrinsic untility value, and cost)がachievementにつながると仮説している。また、他の動機づけの理論もL1 reading motivationに取り入れた結果、大まかに3つのカテゴリーに構成要素を分けた: (a) competence and reading efficacy, (b) achievement values and goals, and (c) social aspects of reading. Wigfield and Guthrie(1995)はこの理論をもとに質問紙を開発したが、妥当性に関しては思わしくない結果であった。

研究目的は日本のEFL コンテキストでのreading motivationの構成要素を明らかにすることである。よって、質問紙の妥当性の問題について調査する。

30項目からなる質問紙は447名の日本人学習者に実施授業初回に1度実施された。信頼性アルファ係数は.93であった。質問紙にある項目はほとんどがWigfield and Guthrie(1995)が開発したものを使っている。また、Gardnerが開発した動機づけの質問しであるAMTBからintegrative orientationに関する項目を採用した。

主成分分析を行い、バリマックス回転で結果を解釈することにし、また因子負荷が低い項目は分析から外し、結果を解釈した。4因子で26項目の解釈を行った結果、total varianceは56.50%で、信頼性アルファ値は.93であった。因子1はintrinsic value of reading, 因子2はextrinsic utility value of reading, 因子3はimportance of reading, 因子4はreading efficacyと命名した。

Wigfield and Guthrie(1995)はL1 reading motivationには11もの構成要素があると仮定したが、どうやらそうではないみたいである。Expectancy-value theoryのほうがよりこの研究結果を説明できる理論だと述べている。また、Gardnerがいうintegrative orientationらEFLコンテキストには適合しないのかもしれない。

2007年11月13日火曜日

An analysis of peer assessment in EFL college oral presentation classrooms

Otoshi, J. & Heffernan, N. (2007). An analysis of peer assessment in EFL college oral presentation classrooms. The Language Teacher, 31(11), 3-8.

 プレゼンテーションスキルを教え、その習熟度を評価している授業も増えている。しかし、プレゼンテーションについての研究やその評価に関しての研究は少ない。また、採点基準についての研究も少ない。採点基準に基づき、発表者のプレゼンテーションを評価するということは信頼性の問題につながる。
 近年、プレゼンテーションの評価に相互評価を取り入れることについての研究はいくつかある。相互評価を取り入れることにより、より学習者が発表を注意深くきき、より学習の意識が高まり、動機づけとなるといっている。
 既存研究では相互評価から得た得点は最終成績に入れるべきではないといっている。やはり、これは学習者では発表の質を評価できないとの理由からである。しかし、L1の研究では相互評価と先生評価の相関が高く、採点者としての訓練を行えば、信頼性をもって評価できるとしている。L2の研究でも学習者は、信頼性をもって評価できるという結果をえている。最新の研究では学習者は評価基準をよく理解できなかったため、信頼性をもって相互評価することはできなかったという結果をえている。
 上述の研究では学習者のレベル違いがどのように相互評価に影響するかは調査していない。
 よって、研究目的は以下の2点である。
 1.学習者間の評価にはどの程度信頼性があるのか
 2.英語能力によって学生間の評価の信頼性は変わるのか。
研究対象者は、上位クラス36名と下位クラス31名の67名の大学生である。2クラスの教員は異なる。5分間の個人発表を相互評価した。発表の題はビジネスまはた経済関係のものであればなんでもよいとした。評価基準はアイコンタクト、声、英語、明確さ、オリジナリティー、パワポの6観点で、5件法を用いている。分析方法としては、それぞれのクラスの評価の信頼性を検証するため、学習者相互評価の得点平均と教員評価の相関を求めた。内部一貫性信頼性係数クロンバックはそれぞれ.82, .79であった。
 上位クラスと下位クラスの平均を比較したところ、相互評価では平均の違いは6項目ともあまりなかったが、下位グループの明確さの項目平均(M=4.03)が上位クループ(M=3.77)より高くなっている。先生評価も明確さの項目に関しては下位クラスのほうが平均値が高くなっている。相互評価と先生評価の項目平均の差異があるかを検証するためt-testsを行っている。アイコンタクトのみ平均値の有意差がなく、平均値の違いがない。あとの項目は平均値の差があり、相互評価と先生評価では得点の違いがあることがわかる。次に、クラスごとに全6項目、先生評価と相互評価の相関を算出している。係数は.171~.818となり、下位クラスのオリジナリティーの項目以外はまあ相関があり、採点者間の信頼性はやや高いとの結果となった。よって、下位クラスにこの採点基準を用いる場合オリジナリティーの項目を削除したほうがよいと述べている。しかし、結論として、オリジナリティーの項目はより細分化したほうがよいと主張している。
 採点基準を理解していない学習者もいるので、学習者が評価基準を先生と一緒に開発するとよいといっている。
 

2007年11月6日火曜日

Study-abroad, language proficiency, and learner beliefs about language learning

Tanaka, K. & Ellis, R. (2003). Study-abraod, language proficiency, and learner beliefs about language learning. JALT Journal, 25(1), 63-85.

学習個人差の要因として主にmotivation, attitude, aptitude, anxiety, self-confidenceなどがあげられるが、学習信条(learner beliefs)もよく研究されている。しかし、Horwitz(1985)とWenden(1986)のパイオニア研究以降、研究が進んだにもかかわらず学習信条のモデルはいまだに確立されていない。Tanaka(1999)では、学習信条を主に2つの構成要素に分けられるとした。1つはself-efficacy, confidence, aptitude, motivationを含むbeliefs about self as a language learnerで、もうひとつはbeliefs about approaches to language learningである。そして、後者は2つに分けられ、一つはbeliefs about analytic learningで、もうひとつはbeliefs about experiential learningである。既存研究では、学習信条とはsituation-specificで、年齢、文化背景、学習環境、学習到達度、学習言語などによって異なるとの結果が得られている(e.g., Sakui & Gaies, 1999; Horwitz, 1999)。また。、学習信条と学習到達度と学習到達度の関係についての研究もある(Park, 1995)。Kern (1995)では、Horwitzが開発した学習信条を測定していると思われる尺度であるBALLIを実施し、学習信条の変化を調査した。日本の大学では近年海外へ学生を留学させるカリキュラムがあり、その経験から得たことを調査する研究もある(Freed, 1993, 1995, 1998; Coleman, 1997)。やはり、fluencyと語彙に主に影響するようである。既存研究の結果から以下の項目を研究目的とした。
1. TEOFLの得点変化
2.学習信条の変化
3.学習信条と学習到達度の関連
4.学習信条の変化と学習到達度の変化の相関

研究対象者は15週間留学プログラムに参加した166名の日本人大学生である。BALLIやTanaka(1999)の研究結果をもとに作成された27項目からなるアンケートを実施した。分析方法は探索的因子分析でTanaka(1999)のモデルでは、学習信条は3つの構成要素からなるととしたので、因子を3つと限定して因子分析の結果を解釈することにした。また、アンケートのほかにTOEFLも留学前と留学後2回実施した。アンケートの信頼性を検証するためCronbach alphaを用いた。そして、TOEFL特定の平均に上昇があったかを検証するためindependent t-testを行った。同様に、3つの構成要素と27項目の平均値に変動があったかを検証するためindependent t-testを行った。そして、一回目のTOEFL得点と1回目の相関、二回目のTOEFLと2回目の相関、2回目から1回目の平均を引いたアンケートの平均値と2回目のTOEFLの相関をみた。
因子分析の結果、一回目と二回目のtotal varianceはそれぞれ22.39%と30.02%と3因子では情報量が少ないとの結果となった。3セクションの信頼性も.5~.8でよいほうである。一回目と二回目のTOEFL得点の平均を比較したところ統計的に有意であった。3つのセクションの平均値の差異も統計的に有意であった。全27項目の平均値の変動は、最も「先生はL1で授業を行うべきである」の平均値の差があり、.67減少した。TOEFLとアンケートの相関をみたところ、リスニングとanalytic learning、リーディングとanalytic learningの相関に有意差があった。
考察として、Tanaka(1999)のモデルをもとに作成したアンケートは信頼性が高く、妥当性も実証されたと主張した。しかし、学習信条はあまり変化しなかったが、self-efficacyとconfidenceの学習信条に変動があった。また、analytic learningとTOEFL得点との相関は負の関係にあったので、TOEFLを学習する際はanalytic learningの方法は避けたほうがよい。

2007年11月2日金曜日

The subtle effects of language anxiety on cognitive processing in the second language

MacIntyre, P. & Gardner, R. C., (1994). The subtle effects of language anxiety on cognitive processing in the second language. Language Learning, 44(2), 283-305.

 過去のforeign language anxiety研究ではFLCASという尺度を用い学習者の大まかなAnxietyレベルを測定し、大まかな学習到達度の指数である授業の成績など相関関係を検証するのが一般的であった。しかし、MacIntyreとGardnerは大まかなAnxietyレベルを測定するのではなく、より微細なAnxietyが習得に与える影響を検証する必要があると主張した。そして、TobiasのCognitive processing modelにふれ、Cognitive processingはinput, processing, outputと3つのステージに区別することができ、それぞれのステージは従属関係であり、inputがうまくできることによって、次のprocessingにつながると説明した。よって、研究目的は3つのステージのAnxietyレベルを測定し、9つのタスクとの相関関係を検証することである。

研究対象者は97名のフランス語学習者である。実施した尺度は以下の通りである。
1. Input anxiety(k=6; alpha=.78)
2. Processing anxeity(k=6; alpha=.72)
3. Output anxiety(k=6; alpha=.78)

1~3の尺度の妥当性を検証するため以下の尺度も実施された
4. French class anxiety(k=8; alpha=.91)
5.French use anxiety(k=8; alpha=.90)
6. FLCAS(k=8; alpha=.90)

1~6の相関関係をみたところ、係数は高くAnxietyを全体的に測定していると思われる。

学習到達度を測定するため以下の指数を使った
7. course grade

Inputステージのパフォーマンスを測定するため以下のテストを用いた
8. Word span(スクリーン上に出てくる名詞を発音する)
9. Digit span(単語の連なりがテープからながれ、テープ終了後、順番通りに書く)
10.T-scope(英語がフランス語の単語かを判断する)

Processingステージのパフォーマンスを測定するため以下のテストを用いた
11. French achievement(おもに文法を測定(k=100))
12.Paragraph translation(15行の文を訳す)
13.Paired associates learning(16の単語を英語とフランス語で覚え、英語訳が提示されたらそのフランス語をいう)

Outputステージのパフォーマンスを測定するため以下のテストを用いた
14.Thing category(ある名詞に連結する形容詞を思いつく限り書く)
15.Cloze test(空欄箇所を埋める)
16.Self-description(英語とフランス語で自己紹介を行う。採点基準はfluency, sentence complexity, depth, accentである)

 結果、最もAnxietyと相関があったのは成績であった。この結果は過去の研究結果と同様である。
3つのステージに特有な尺度を作成したが、全テストとの相関の違いはあまりみられなかった。よって、この3つの尺度は認知ステージをよく分別できなかったことになる。Anxietyが高い学生は
1.short-term memoryに単語を蓄積するのが困難
2.short-term memoryに蓄積した単語がprocessingステージにあまるい移行しない
3.単語を認知するのが遅く、より時間がかかる
4.訳の完成度が低く、間違えを避ける
5.より努力をし、よい結果をもたらす
6.努力をすることによって、Anxietyは減少する

この結果からどうやらAnxietyは3ステージに影響しているといえ、また各ステージに蓄積されパフォーマンスに影響する。